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投資・起業・副業・節約・法務を研究するブログ

トリセツ:AFP・経営法務コンサルタントが投資・起業・副業・節約・法務の情報を発信。発想のきっかけとなればうれしいです。

「元社員に顧客をとられた」 お店・会社は元社員に法的責任を問えるのか? 

http://uxlayman.hatenablog.com/entry/2017/01/26/insentens

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「税理士・美容師・ネイリスト・・・会社を辞めて独立するとき・・」

 

税理士・美容師・ネイリストといった専門職は、会社を辞めて独立するときに、考えること・・・

 

 

それは、リピーター的性格を持つ顧客をになんとか、こちらの顧客になってもらえないか・・・

 

 

ではないでしょうか?

 

 

顧客にとっても、メリットがあります。

 

 

会社の社長・お店の店長ではなく、

 

 

その税理士・美容師・ネイリストを信用している!

 

 

気に入っている!

 

 

だから、独立したら、そっちに行く!

 

 

業界・会社・お店によっては、独立する際に「のれん分け」をするところもあるようですが、「のれん分け」をしないところもありますね。

 

その場合、会社・お店にとっては、

 

社員がいなくなる!

 

顧客もいなくなる!

 

で踏んだり蹴ったり。

 

退職・独立は阻止できないが、せめても「顧客」の持ち帰りだけは阻止したい!でしょうね。

 

「雇用契約書・誓約書に「禁止事項」を設ける!!」

社員に対し、入社時・退職時に、雇用契約書・誓約書に「客との連絡先交換」や「退職後の個人契約を禁止する」旨をサインさせれば万全?!

 

社員は、会社との雇用期間中は、会社と競合する業務を行わないという『競業避止義務』を負います。

 

よって、在職中であれば書面の有無に関係なく、守らなくてはなりません。

 

在職している時に、「書面」を結んでおけば、「競業避止義務違反」として違法になる可能性が高いですね。

 

「元社員には、職業選択の自由も保障されるのでは?!」

 

原則的に、この「競業避止義務」は退職後についても負うことになります。

 

ということは、書面を結んでいる以上、元社員は違法なのでしょうか!?

 

じつは、そうでもないのです・・・

 

それは、書面の内容によります。

 

退職後にも無制限に競業避止義務を負うとなると、労働者にとってもあまりにも酷です。

 

キャリアを活用しての転職・独立が出来なくなります・・

 

職業選択の自由が侵されてしまいますね・・

 

実務上は、競業の範囲や禁止期間などによって、一定の絞りと配慮が必要とさています。

 

無制限に、退職後の「競業避止義務」をかけることは公序良俗に反して無効になると解釈されます(民法90条)。

 

たとえば、「店の客に限定した」「〇〇市内に限定」「退職後の1年間」と限定という形で、絞りをしていれば、元社員の違法性を問うことが出来る可能性が高まります。

 

「ドラマの「ハゲタカ」では?!」

 

主人公の「鷲津」は、ハゲタカファンドを退職する際に、同業者に就職しないこと・独立しないことを条件に、数(十)億円もの、巨額な退職金をもらうシーンがありました。

 

 

「競業避止義務」「秘密保持義務」の対価でしょう。

 

 

アメリカだから?かもしれませんが、今後の生活費のことや、口留め料を考えれば、このくらいの高額も妥当ですかね?

 

 

つまり、元社員に、「競業避止義務」のような強い制限を与えるためには、それなりの見返り・対価を与えないと困難ということですね。

 

 

「実務例!?」

 

 

管理人の経験でも、この事件はありました。

 

 

東京店で勤めていた従業員が退職して、故郷の広島に戻り、東京店と、うり2つの店を開業したのです。

 

 

店名・メニュー・内装から何から何まで、マルパクり!

 

 

背後関係を調査したところ、もともと、他の飲食店グループの役員をしていて、広島店のオープンには、この飲食店グループが出資していると。

 

 

ということは、マニュアルを盗むために、数年間も社員として潜入していた「S」なんでしょうか?!

 

 

顧問弁護士に、相談したところ・・・

 

 

 

「誓約書を書かせよう!!」

 

 

お手上げ!!

 

 

当時は、何も書面を書かせていなかったため、何もできない!という結論に。

 

 

これを教訓に、入社時・退職時には、「競業避止義務」の誓約書を提出させています。

 

 

ただし、くだんのように、年数を絞っています。

 

 

また、パクられた飲食店には、こう話しました。

 

 

「法的拘束力は微妙。裁判まで行ったら、費用倒れに終わるかも。あくまでも、社員へのプレッシャー効果と思っておいてください」

 

 

と。

 

 

幸いにも、この類いの事件は、その後は起こっていないようです。

 

 

余談ですが、パクった店側は、数年で「閉店ガラガラ」になったようです。

 

 

仏作って魂入れず!

 

 

見せかけだけ、パクっても、長続きさせるのは難しいようですね・・・

 

 

 

「まとめ」

 

 

・元社員への縛りは、可能(競業避止義務)

 

・必ず書面を交わす

 

・内容は、範囲・期間を制限すること

 

・違法が立証できれば、理論上は「損害賠償請求」もできる。