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固定残業・定額残業代制度のメリットとデメリット? 合法?違法?

http://uxlayman.hatenablog.com/entry/2017/01/26/insentens

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「固定残業代制・定額残業代制とは?」

 

なんだか、どこぞのスマートフォンのプランのような響きですね。

 

簡単に言いますと、毎月一定の残業代(時間数)を支給する。

 

仮に、実際の残業時間が支給する残業代(時間数)よりも、少なくも残業代が減額されることはありません。

 

 

逆に、実際の残業時間が支給する残業代(時間数)を上回る場合は、追加で、残業代を支払う必要があるというもの。

 

これは、一般的に、「固定残業代」「定額残業代」と言われ、一定の残業を見込んで「手当」として支給するという給与体系・給与制度です。

法律に定めた要件どおりに、制度が設計・運用されていれば、合法とされています。

 

 

「会社側の表のメリット・デメリットは?」

 

メリットは、人件費を予算化できる点でしょうか?

 

デメリットは、作業効率の低下(残業しなくても残業代が出るため)、実際の残業時間が支給時間数を下回る状態が続けば、人件費が事実上増加(払い過ぎ)することになります。

 

 

 

「弁護士から、内容証明郵便が届く」

 

以前、こんなことがありました。

 

クライアントから「至急、相談したいことがある!」と連絡があり、急行してみると。。。

 

弁護士からの「内容証明郵便」が届いていました。。

 

内容は、退職した元社員から「残業代の不足分54万を支払え!」というものでした。

 

 

「この会社の給与体系は、固定残業代制・定額残業代制だった!?」

 

元社員の給与明細や給与体系を確認すると、案の定「固定残業代制・定額残業代制」でした。。

 

クライアントに確認したところ、

①事業はサービス業

 

②毎月定額の残業手当+残業代20時間分を支給している

 

③実際の残業時間のオーバー分は支払っていない

 

とのこと。

 

そして、先方の弁護士は、退職前の20か月間の③分が54万あまりになるので払え!

 

と主張してきていました。

 

しかも、タイムカードのコピーを持っている!と準備万端な状態。

 

なんだか、雲行きが怪しい感じです・・・

 

「会社側の裏メリットがった?!」

 

結局、この制度のホントのメリット・狙いは、この点にあるのかと思います。

 

会社側は、

 

「残業手当は支給しているので、オーバーしても、これ以上は支払わない!」

 

と説明して終了!!

 

表のメリットでは、うまみが少ないのが気になっていましたたが、この理由なら納得できます!!

 

飲食を始め「ブラック業界」と呼ばれる「業界」や、「ブラック企業」と呼ばれる会社の実態が垣間見えた気がします・・

 

 

「残業代のシミュレーション」

 

元社員の在籍していた20か月間につき、シミュレーションしてみました。

 

①実際に支払った総額:199万

 

②実際の残業時間どおりに支払っていた場合:227万

 

227-199=28万

 

本来は、未払い分は28万になります。

 

ところが、定額制・固定性を導入しているため、繁閑期の残業が少ない月は、むしろ払い過ぎの「月」が生じていました。

 

そして、先方の弁護士は、制度(法律)どおりオーバーした「月」だけを追加請求してきましたので

 

請求額は54万!(26万損!)

 

となってしまうのです。。。

 

 

 

「定額制・固定性を辞められないブラック企業」

 

じゃ、定額制・固定性を辞めた方が「お得」なのでは?

いやいや!

 

止めませんよ~

 

だって、こんなふうにトラブル化(後日、不足分を請求)する人間なんて、一部でしょうからね~

 

トラブル化が100人に1人の割合だとしたら、

 

会社の(不当な)利益は

 

28万(1人あたり)×99人-26万=2,746万÷20か月=137.3万(1月あたり不当利益)

 

にもなります。

 

 

「この未払い残業代の請求事件の決着は、どうなった?」

 

顧問弁護士に相談してみると、相手方弁護士と異口同音!

 

以下同文!

 

証拠のタイムカードまで準備されたら、お手上げです。

 

フラれてバンザイです。

 

でも、訴訟まで持ち込むのは、先方も、本意ではないはずなので、交渉するように提案しました。。

 

その後、クライアントが、先方の弁護士と価格交渉をした結果、54.4万の請求を50万の支払いに「お勉強」してもらって、なんとか「手打ち」となったようです。

 

 

「このビジネスモデルの終わりの始まり?」

 

現状は、飲食業を始めとするサービス業界では、残業に関しては、このような実態が存在するのではないでしょうか?

 

正社員ではなくアルバイトを活用したり、残業代を不支給(以前、問題となった名ばかり「管理職」もそうですね)にすることよって、人件費を削減・圧縮し、利益を確保するというビジネスモデルですね。

 

ですが、このビジネスモデルは、相場、行き詰まるのではないでしょうか?!

 

このビジネスモデルのベースにあるのは、「安価な労働力の安定的確保」という点にあります。

 

まさに、昭和の人口増加期には、ドンピシャのビジネスモデルでしたね。

 

ですが、その後の少子高齢化で、労働力人口の減少局面に入った現在の日本では維持するのでは困難ではないでしょうか?

 

最近では、コンビニや牛丼屋の店員は「外国人」「シニア世代」ばかりです。

 

先般の宅配便のヤマトでのドライバー不足問題でも、サービス産業における人手不足が深刻な状況にあることを認識させられたことは記憶にあたらしいですね。

 

飲食業でも、アルバイトも社員も、人材確保に四苦八苦しています。

 

さらに、アベ内閣は「働き方改革」「残業規制」の方針を明確化しています。

 

 

 

「打開策は?」

 

今すぐ、このビジネスモデルの呪縛から解き放たれるのは、困難でしょうか?

 

現状(短期)は、アルバイトの時給UPや、社員の給与条件のUPという手段で、多少、利益を減らしても、このビジネスモデルにしがみついていますね。

 

ただ、条件をUPし続ければ、結局、利益がなくなってしまいますので、本末転倒です。

 

抜本的な解決策にはなりませんね。

 

長期的には、

 

①労働生産性を上げる

 

②商品・サービスの価格を上げる

 

しかないのではないでしょうか?

 

 

飲食業ですと、①の例では、ファミリーレストランでの「ドリンクバー」や「セントラルキッチン方式」があげられますね。

 

 

「まとめ」

 

・「固定残業代」「定額残業代」は、正しく導入・運用すれば「合法」

 

・「合法」的に導入した場合、会社側のメリットは少ない

 

・実態としては、追加分の残業代を支払わないケースもある

 

いずれにせよ、労働力人口が増加しない限り、解決されない問題ですので、長期的視点から、経営方針を検討されるべきでしょう。

 

 

 

 

 

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